眼は、なぜ疲れるのか


まず理解していただきたいのが、眼の構造です。

眼の構造は、水晶体がレンズ、網膜がフィルム、そして水晶体を調節する筋肉『毛様体筋』がオートフォーカス機能というように、カメラの構造と似ています。(右図参照)。

 

この『毛様体筋』が、水晶体の厚みを変えることで、人は無意識のうちに様々な距離のものにピントを合わせているのです。

目の疲れは、長時間近くを凝視、液晶画面を見続ける、老化による調節力の衰え、など様々な要因により、毛様体筋に過度の負担がかかり筋肉疲労を起こすことにより引き起こされます。

 

さらにこの目の疲れの症状が、睡眠をとったり休んだりしても回復しないほどの重篤な状態になると、眼精疲労という病気を引き起こします。

 

また、毛様体筋は自律神経の支配領域であるため、長時間毛様体筋を酷使すると自律神経のバランスが崩れてしまい、目の症状だけでなく頭痛や肩こり、めまいなどの様々な症状があらわれ、放置していると自律神経失調症やうつ病にもつながってしまいます。

目の疲れが眼精疲労にいたってしまったら、きちんと治療する必要があります。

「ただの目の疲れ」などと軽く考えず、眼科を受診しましょう。

 


疲れ目の大きな要因は、見え過ぎ!?


毛様体筋の酷使が、眼精疲労を引き起こすという話をしましたが、まず意識していただきたいのが「眼に優しい視力矯正」です。

 

特に、パソコンなど近見作業の多い方の過矯正(強すぎるメガネやコンタクトの使用)は、毛様体筋への負担がたいへん大きくなり、若い方でも眼精疲労を引き起こします。

現代社会における生活視力の目安は、両眼視力で0.8~1.2です。視力1.5を出すことより、一人ひとりの生活や仕事に適した度数調整が大切なのです。見づらさや疲れを感じたら、必ず眼科専門医に相談してください。

 

まずは疲れ目対策として「はっきり見える」から「楽に見える」へ考え方を変えることが必要です。

 


コンタクト使用者も! デスクワーク用メガネ


適切な度数調整をしても、長時間のパソコンなど近見作業は毛様体筋に負担がかかります。その負担を軽減するために、デスクワーク用メガネ(PC用メガネ)の使用をおすすめします。

デスクワーク用メガネは、近見作業の距離にピントが合うよう度数を合わせるので、毛様体筋の調節力を使わずに近くが見えるため、目の負担が減り、疲れにくく楽に見えます。

また、近視などでコンタクトを使用している方は、コンタクトをつけた状態でさらにデスクワーク用メガネを装用することで目の負担を軽減できます。

 

PC用メガネはブルーライトカットも有効ですが、最も重要なのはパソコンの距離に合わせた度数調整がされていることです。

 


自律神経のバランスが重要!


自律神経は、日中活動しているときに主に交感神経(活動モード)が優位になり、夜の睡眠中に副交感神経(休息モード)がもっとも優位になる状態が、本来の生体リズムです。しかし、夜中まで明るい照明を浴びたり、液晶画面を見たりしていると、体内時計が狂い、生体リズムが崩れて睡眠障害や体調不良の原因になります。

 

眼精疲労は自律神経バランスを乱しますが、逆に自律神経バランスの乱れが眼精疲労の原因になることもあります。質の良い睡眠をとって、自律神経のバランスを崩さない意識をしっかり持つことは、眼精疲労の軽減にとっても重要なことです。

 


その日の疲れは、その日のうちに!


疲れ目の症状を緩和するためには、セルフケアも重要です。

仕事の合間やバスタイム、就寝前に気軽に出来るセルフケアで疲れを溜め込まないようにしましょう。

●目のストレッチ

10秒ずつ眼だけを動かす

上→正面→下→正面→右→正面→左→正面

●毛様体筋のストレッチ

近くと遠くを交互に見る

自分の手元→まばたき→遠くの景色→まばたき

(20~30秒ずつ4~5回繰り返す)

●身体のストレッチ

深い呼吸とともに首や肩を回し、血行促進

●腹式呼吸

鼻で空気を吸ってお腹にため、口からゆっくり 空気を吐ききる

●セルフマッサージ

目周り、こめかみ、後頭部等を指で刺激し緩める ※眼球は押さないように!

●就寝前1時間は、パソコンや携帯・スマフォなど液晶画面を見ないようにする

●朝起きたら太陽の光を浴びる

●温罨法…眼の周りや、後頭部を温め、血行を良くします。

→クリークピロー

 

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